Columnコラム
【Jリーグチームとの取り組み】日本一エコフレンドリーなスタジアムグルメ
SDGsや環境問題というワードが日常生活に定着しはじめていますが、その流れは生活に密接する"食"の領域にも広がってきています。
私たちは大豆ミートをきっかけに、環境問題について興味関心の輪を広げていく活動をしています。今回は新たなコラボレーションパートナーであるサッカーJ2いわてグルージャ盛岡との取り組みについてクラブのシャレン*担当 福田一臣さんと代表白坂の対談記事をお届けします。
*シャレンとは:Jリーグが推進する社会連携活動
それぞれ「環境」をテーマにした活動をされていますが、どのような活動をされているのか教えてください。
福田さん(グルージャ)
プロサッカークラブなので、実際の試合興行がメイン事業です。
ただ、社会の変化とともにプロスポーツクラブに求められる役割は変化してきていて、地域課題を解決する「ハブ」として、クラブを機能させたいと思い、地域の企業や人々と連携した活動にも力を入れています。
白坂(SOYCLE)
私たちは「エコフレンドリーな社会」を創ることを企業パーパスとして大豆ミートブランド「SOYCLE」の、企画・販売を主に行っています。
地球温暖化の1つに牛のゲップから出る温室効果ガスがよく挙げられますが、SOYCLEは、製造過程の温室効果ガスは牛肉の10分の1であり、環境配慮型の食材です。
SOYCLEを通して環境問題にアプローチしていきたいと思っていますが、私たちのような小さなブランドでは影響力が小さいのが現状です。
私は環境問題は「団体戦」であると思っていて、SOYCLEでも多くのパートナー企業とのコラボレーションを行っています。
(対談の様子。左から白坂・福田さん)
そうしたコラボレーションの一環として、いわてグルージャ盛岡に声をかけたんですね。
白坂(SOYCLE)
はい、SOYCLEを含めた大豆ミートや環境配慮型の食材の認知度はまだまだ低く、ごく一部の人にしかアプローチできていないと感じています。
一方でJリーグは日本の各地にクラブがあり、老若男女幅広いファン層を抱えています。アプローチを広げる上でぴったりのパートナーだと思っていました。
それと自分自身が学生時代ずっとサッカーをしていたことも理由の1つでした。
福田さん(グルージャ)
確かにそうですよね。ファン、アカデミー、スポンサー企業、自治体などこれほどまでに広い層と接点をもっているのはJクラブの特徴かもしれません。
(左から白坂・福田さん・Jリーグ理事辻井さん)
全国には多くのJクラブがありますが、なぜグルージャだったんでしょうか。
白坂(SOYCLE)
環境問題に関心や理解がないクラブだとコラボレーションを受け入れてもらうのは難しいと思っていたので全クラブの活動を調べました。そこでグルージャの地域連携型の活動を目にしたことが最初のキッカケでした。
また、SOYCLEは立ち上げ時から社会活動家である辻井隆行さん(現Jリーグ理事/元パタゴニア日本支社長)に応援してもらっているのですが、辻井さんもグルージャの取り組みに興味を持っていて、コラボを勧めてくれました。
福田さん(グルージャ)
自分達の活動がそこまで知れ渡っているとは思ってなかったので、最初に連絡がきた時は驚きました。
グルージャが取り組む地域連携型の活動を具体的に教えてください。
福田さん(グルージャ)
2つの活動を紹介させてください。1つ目は子ども食堂の普及・推進です。岩手県は他県と比べて子ども食堂の普及率が低いことが社会問題でした。
そこで県内のグルージャのスポンサー企業などに声をかけて食材提供の仕組みを作り、子ども食堂がなかった県内エリアに食堂を開設しました。
2つ目はグルージャ米の生産です。スタジアムグルメの提供にエコフレンドリーなedish(エディッシュ)という容器を用いて、そのゴミを堆肥化して、お米の生産を行っています。もちろんここで生産したグルージャ米を子ども食堂にも出しています。
(グルージャ米。子ども食堂でも提供。)
サッカー以外にも幅広く活動されているんですね。edishの活動はすごくユニークに映ります。
福田さん(グルージャ)
edishは丸紅社が開発した循環型容器です。
前々から、Jリーグの試合は「持続可能な興行」であるべきと考えていて、その考えと一致する容器だったので採用を決めました。
さらにその容器のゴミをグルージャ米の肥料として使うことで、クラブ/スタジアムをハブとしたゴミをゴミとしない完全循環型のエコシステムを目指しました。
とは言っても、実際にスタジアムグルメを提供するのは各出店者様で、その方々の理解と賛同がなければ普及しません。そこで2ヶ月ほどテスト導入期間を設け、その期間は無料で使ってもらいました。
同時に環境に対するクラブのビジョンを出店者様や購入するファン・サポーターの方々にも地道に伝えていきました。
何かしたいけれど、何をすべきか悩んでいた出店者の方もいらっしゃったようで、大きなハレーションもなく導入することができました。
今ではほぼ全ての出店者様にedishをお使いいただいています。
白坂(SOYCLE)
私が見たのもその取り組みに関する記事でした。Jリーグのシャレン!アウォーズを受賞していますよね。
福田さん(グルージャ)
はい、活動が評価されたことは純粋に嬉しかったです。
(会場内に設置されたedish専用回収ボックス)
SOYCLEとして、今回のコラボでの具体的な取り組みを教えてください。
白坂(SOYCLE)
シンプルですが、SOYCLEオリジナルキーマカレーをedishと合わせて提供しました。
(今回提供したキーマカレー。容器とスプーンはedishを使用。)
お客さんの反響はどうでしたか。
白坂(SOYCLE)
キックオフの1時間前には用意した分が完売してしまいました。(もう少し用意しておくべきだったと反省しています、、笑)
まずは敷居を低くすることから始めたかったことと、人々の行動を無理に変えていくのは違うと考えているので、大豆ミートを使用していることは強調せずに売り込みました。
カレーを選んだのもそれが理由です。誰でも親しみやすいメニューが良いと思いまして。
「大豆ミートが入ったキーマカレー」ではなく、「美味しいキーマカレー」としてサポーターの間で口コミになってくれて、サポーターがサポーターを呼ぶ流れが生まれていて、すごく嬉しかったです。
福田さん(グルージャ)
ホーム最終戦と言うこともあり、スタグルブースがいつもより賑わっていました。私は当日グルージャファンが通る入場ゲートを担当していたのですが多くのサポーターさんがSOYCLEオリジナルキーマカレーを持ってスタンドに入っていくのを見て大変嬉しく思いました。
(会場でカレーを配る様子。)
今後は具体的にどのようなコラボレーションを予定していますか。
福田さん(グルージャ)
子ども食堂を一緒にやっていきたいと思っています。
白坂(SOYCLE)
そうですね、SOYCLEは栄養価が高いことも特徴なので子どもにもどんどん広まっていってほしいと思っています。環境問題とセットの食育講座なども一緒にやっていきたいですね。
福田さん(グルージャ)
子ども食堂を介した食育ももちろんですが、所属選手やアカデミー生とその保護者に対する食育講座も一緒にやっていきたいです。
白坂(グルージャ)
実は、SOYCLEはKOBAトレでお馴染みのプロトレーナー木場さんや最近では女性アスリートの方からも多く支持をいただいています。選手、クラブと地方食材を絡ませたオリジナルメニューの開発などもぜひしていきたいですね。
(左から白坂・Jリーグ理事辻井さん・福田さん・グルージャ公式マネージャー工藤きづなさん)
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編集後記
シャレンの活動記事で読んでいた以上に、広い視野と深い洞察力で語る福田さんに感銘を受けました。
一過性の活動は行わないという福田さんのスタンスとは通じる部分があり、子ども食堂に対するアプローチなど対談中共感する場面が多々ありました。
もともと「自分の子どものための事業をつくりたい」という想いでスタートしたSOYCLEですが、グルージャとのコラボーレーションを通してより多くの子どもたちにアプローチできるポテンシャルを感じることができました。
グルージャとの子ども食堂はもちろんですが、全国のスポーツクラブなどとのコラボレーションを通して、社会課題に対して「団体戦」を取り組んでもらえるパートナーを拡大していきたいと思います。
プロフィール
▼福田一臣さん
いわてグルージャ盛岡 営業一課課長/ホームタウン担当
2020年よりホームタウン担当を兼任し岩手県全33市町村の窓口となり、自治体のPR、各地で様々な地域貢献活動及び地域の課題解決を行う。
その功績が自治体や企業に認められ、自身の就任期間中に数多く連携協定を締結。
また、2022年シャレン!アウォーズでは自信が取り組んだ「グルージャごみゼロプロジェクト」がソーシャルチャレンジャー賞を受賞。
その後、メディア出演はもちろん、クラブをハブとした社会連携「シャレン!」や他クラブの社会連携事例などをテーマにしたセミナーの講師を務めるなど「シャレン!」の普及活動もなども行っている。
▼いわてグルージャ盛岡
▼白坂大作
株式会社上向き 代表取締役 白坂大作
千葉県出身。健康産業・事業プロデュース業などの経験を経て、2019年7月に株式会社上向きを創業、代表取締役に就任。息子の病気をきっかけに、事業指針を「環境×健康」と定め、大豆ミートブランドの開発へ。「エコフレンドリーな社会を創る」をパーパスとし、環境と健康へアプローチをする事業として大豆ミートブランドSOYCLE(ソイクル)を展開している。
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