Columnコラム
【My EFL+】元パタゴニア日本支社長の辻井隆行さんインタビュー②
SOYCLEコラムの新シリーズ『My EFL+』をスタートします!
My EFL+ (My Ecofriendly Lifestyle)では、「私にとってのエコフレンドリーな暮らし」をテーマに、ゲストにとってエコフレンドリーな暮らしがどんなものか、何をもたらしてくれるのかをインタビュー。
記念すべき第1回は、世界的アウトドアブランドとして知られる『パタゴニア』の元・日本支社長であり、現在は気候変動問題に取り組む企業やNPOのコンサルティングにも尽力されている、社会活動家・辻井隆行さんへインタビュー。前後編の2回に分けてお送りします!
後編では、現在、個人として社会活動を続ける辻井さんの、エコフレンドリーな考え方や生き方に迫ります。
辻井さんインタビューの前編はこちらから。
――アウトドアスポーツに親しみ、自然に寄り添う活動をされている辻井さんにとって、エコフレンドリーな生活とはどんなものですか?
エコフレンドリーな生活って、節電とか清貧とか「生活の質が下がること」だと思われがちですけど、実際には、いろいろなことをシンプルにすることで、自分の好きなことに没頭したり、大切な人と過ごす時間が増えたり、物質的な豊かさとは別の豊かさにつながると思っています。
環境破壊につながるのは、過度な生産と過度な消費と過度な廃棄。例えばファッションはその典型的な産業の一つなんですが、もし購入する洋服の数を減らしたとしたら不幸になるかというと、必ずしもそんなことはないですよね。今はクローゼットが洋服で一杯というだけで本当に幸せななんだろうかと考え直すチャンスでもあると思うんです。毎年購入される洋服のうち9割は1年以内に手放されているという環境省のデータもありますが、本当に幸せのために必要な洋服なら捨てないですよね。誰かがあの服を買ったから、私も新しく買わなきゃとか、世間体やファッション業界が作ったトレンドのサイクルに乗せられて買ってしまう。それでは、生活者じゃなくて消費者に成り下がっていると思うんです。
――モノを買うために一生懸命働いて時間がなくなって、いつの間にか本当の豊かさから遠ざかっているというのも悲しいですよね。
モノじゃなくてコトを増やした方が人は幸せになれる。だから自分にとってエコフレンドリーな生活というのは、一言でいうと幸せとか豊かさ、心地よさ、そういうことを自分に問いながら、迷いつつも、本当に自分が幸せになる生き方を追求することでもあるんです。何かを買うにしても、資本主義の奴隷のような消費の仕方じゃなくて、自分の意思を持ってものを選べたら楽しいですし。
たまに訪れる食料品店の入口でオーガニックの野菜を店頭販売する農家さんがいる日があるんですが、一つ一つ野菜を育てた思いなんかを説明をしてくれるんですよ。そうすると食べているときにその野菜の背景や農家さんの顔が頭に浮かぶ。僕はそういう時に豊かだなと思うんです。そうやって人や自然と繋がりができていく。繋がりが生まれていけば、お互いのことを気にかけるようにもなるんじゃないかなと。それが、エコフレンドリーな生活の根本にあるんじゃないかと感じます。
――『パタゴニア』の創業者、イヴォン・シュイナード氏が自分が着る用のTシャツを増やさないようにしていることに感銘を受け、自らもそうしているという辻井さん。「写真を撮るならシミだらけじゃない、もっと綺麗なTシャツを着て来ればよかった。シミだらけのしかないんだけどね!」。そう話す笑顔は、まるで自然を守り育てる森のように豊かに満ちて見えました。
【辻井隆行さん Profile】
1968年生。早稲田大学大学院社会学科学研究科(地球社会論)修士課程修了。99年、パートタイムスタッフとしてパタゴニア東京・渋谷ストアに勤務。2000年、正社員として入社。2009年から2019年まで日本支社長を務める。現在は自然と親しむ生活を送りながら、企業やNPOのビジョン・戦略策定を手伝いつつ、『#いしきをかえよう』の発起人の一人として市民による民主主義や未来のあり方を問い直す活動を続ける。2016年、日経ビジネス「次代を創る100人」に選出。
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